第1期(2012〜2019):鉄壁の4-4-2——「勝つために守る」

シメオネがアトレティコに持ち込んだのは、極めてシンプルな哲学だった。「美しく勝つ必要はない。勝てばいい」。

フォーメーションは4-4-2。4人のディフェンダーと4人のミッドフィールダーが2列のブロックを作り、相手にスペースを与えない。そしてボールを奪った瞬間に、前線の2人が猛スピードでカウンターを仕掛ける。

サッカーを部屋の掃除に例えるなら、レアル・マドリードやバルセロナは「広い部屋を全部きれいに飾る」スタイル。シメオネのアトレティコは「まず玄関のドアに鍵をかけてから、必要な場所だけ素早く片付ける」スタイルだった。

この時代の象徴が3人いる。GKティボー・クルトワ(当時10代)、CBディエゴ・ゴディン、そしてFWラダメル・ファルカオ。ファルカオは2年間で68試合52ゴールという驚異的な数字を残し、2012年にはヨーロッパリーグ優勝、2013年にはスーパーカップとコパ・デル・レイを制覇した。

そして2013-14シーズン、アトレティコは失点わずか26という鉄壁の守備で、バルセロナとレアルの長年にわたる2強独占を打ち破り、ラ・リーガ優勝を果たした。まさに「守って、守って、勝つ」の究極形だった。

この時期に台頭したのがアントワーヌ・グリーズマンだ。2014年にレアル・ソシエダから加入した彼は、最初から自由を与えられたわけではなかった。シメオネのもとで守備のタスクを叩き込まれ、カウンターの判断力を磨かれ、ひらめきの天才から「完全なストライカー」へと進化した。2015-16シーズン終了時には通算44ゴールを記録し、チャンピオンズリーグ決勝にも2度導いた。

中盤ではコケが象徴的な存在だった。2008年にアトレティコの育成組織に入り、2011年にトップチームに昇格した生え抜きの選手。最初はプレーメーカーとして中央に配置されたが、次第にサイドに移り、守備も創造もこなすユーティリティプレーヤーへと成長した。3シーズン連続で10アシスト以上を記録した時期もある。ガビ、ゴディン、フアンフランといった初期の功労者が去った後、キャプテンマークを受け継いだのは自然な流れだった。

第2期(2020〜2021):3バックへの転換——「守りながら攻める方法を探して」

2019年、グリーズマンがバルセロナへ移籍。アトレティコは攻撃の柱を失った。同時に、中盤の心臓だったロドリ(現マンチェスター・シティ)とトーマス・パーティも流出した。

シメオネは問題に直面していた。「4-4-2の守備は堅いが、ボールを持ったときにどうやってゴールまで運ぶのか?」

2020-21シーズン、彼は長年の4-4-2を捨てて3バック(3-5-2)に転換した。これは単なるフォーメーション変更ではなく、哲学の転換だった。

3バックにしたことで、キーラン・トリッピアーとヤニック・カラスコがウイングバックとして高い位置を取れるようになった。守備時は5人で守り、攻撃時は両サイドが一気に駆け上がる。マルコス・ジョレンテは中盤から飛び出して得点に絡む自由を得た。守備と攻撃の「切り替え」が、以前より滑らかになった。

決定的だったのが、バルセロナから放出されたルイス・スアレスの加入。スアレスはリーグ最多の21ゴールを決め、アトレティコは2014年以来のリーグ優勝を果たした。

第3期(2023〜現在):ハイブリッド型——「変幻自在のチョリスモ2.0」

しかし、優勝の勢いは続かなかった。2022年から2024年にかけて、アトレティコはリーグ3位、3位、4位。チャンピオンズリーグではグループステージ敗退もあった。「シメオネはもう終わった」という声も出始めた。

ここでシメオネは、もう一度変わった。

2023年以降のアトレティコは、4-4-2でも3-5-2でもない「ハイブリッド型」を採用している。守備時は5-3-2で固め、攻撃時は4-4-2に変化する。さらに、CBの選手が中盤に上がって「偽ミッドフィールダー」として機能する革新的な仕組みも導入した。

シメオネ自身がこの変化を言葉にしている。「フットボールは変わった。ゴディンの時代のやり方では、今は通用しない。すべてがもっと速くなっている。私もコーチとしてリフレッシュしなければならなかった。」

2024年夏にはジュリアン・アルバレスがマンチェスター・シティから加入。初年度にリーグ17ゴールを記録し、ベテランのグリーズマン(2021年にアトレティコ復帰)と新たなコンビを形成した。アルバレスの走力、技術、そして何よりも守備を厭わない姿勢は、まさにチョリスモの申し子のようだった。

現在のアトレティコは「守って勝つチーム」を超えた。攻守のバランスが取れ、ボールを持つ時間も増え、状況に応じて形を変えられる柔軟さを持つ。14年間で、シメオネは同じクラブの中で3回の革命を起こしたことになる。

シメオネの本質は「変わらないこと」ではなく「変わり続けること」

ここまで読むと、シメオネの戦術が大きく変わったように見えるかもしれない。でも、変わっていないものがある。

「全員が全員のために走る」こと。スター選手であっても守備をサボれば使わない。才能だけでは生き残れない。努力、規律、団結。ジョアン・フェリックスは1億2600万ユーロの移籍金で加入したが、シメオネのスタイルに適応できず、最終的にクラブを去った。一方でグリーズマンは「守備の役割を引き受けてから、初めて信頼された」と語っている。

フォーメーションは4-4-2から3-5-2へ、そしてハイブリッドへと変わった。しかし「一試合ずつ、全力で」という根本のメンタリティは14年間一度もブレていない。

それがチョリスモだ。

今日のチョリスモ実践

環境が変わっても、自分の核にある価値観は捨てない。でも方法論は柔軟に変える。仕事で新しいやり方を求められたとき、「変わること」は「軸を失うこと」ではない。シメオネのように、変わり続けることで、本質を守ろう。